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集中線の中心位置・補助線の角度で効果は倍増する『演出の意図を考える』

集中線の中心位置・補助線の角度で効果は倍増する『演出の意図を考える』

本記事は書籍『さいとうなおきの超もったいない!イラスト添削講座』の抜粋記事です。
イラストレーターのさいとうなおき先生が「キャラクター」の視点で添削し「イラストを上達させるテクニック」を解説したいくつかのページをご提供いただきました。


お悩み相談8:エフェクトを効果的に描けない!

相談内容: 涼しげで月のような雰囲気を目指して、女の子(六花ちゃん)を描きました。背景やエフェクトを描くのが苦手なので、キャラや背景に何か違和感があります。(P.N.カミダンさん)

BEFORE

(P.N.カミダンさん)

GOOD!

  1. 苦手分野から逃げていない!: 背景やエフェクトが苦手とありますが、あえて果敢に挑戦しています。イラストにかける意気込みがヒシヒシと伝わる作品です。
  2. 自分の課題がよく理解できている: コメントに、背景やエフェクトの他にも今かかえている課題が列記してありました。自分の長所・短所を観察して改善することが上達の早道なので、この点も前向きでグッド!!

NOBISHIRO

  1. ポージングとエフェクトが噛み合わない: 違和感の正体は、このちぐはぐさ。人物の動きを表現しやすいエフェクトに変えましょう。
  2. ストーリーが見えてこない: 画面の手前・奥ともに同様の宇宙空間が広がっているだけなので、ストーリー性が感じにくくなっています。

集中線の中心位置・補助線の角度で効果は倍増する

AFTER

【気まぐれ添削81】より
  1. 髪の毛のハイライトは細い線ではなく、面で明るくし視認性をアップ
  2. 背景の色を人物にも反映すると、なじみやすい
  3. 雪の結晶は丁寧に描かれていて目立ちすぎるので、角度をつける+淡いエフェクトで印象をやわらげる

POINT1 エフェクトの方向性で広がりを演出

これはエフェクトの集中線効果で視線を集め、その延長線上の真ん中に人物を配置する、典型的な日の丸構図です。この構図は静かな美しさに適しており、対して六花ちゃんのポージングは動きの表現がありますので、構図とポージングが食い違ってしまっています。この違和感を解消するため、まずは人物を中心からズラして日の丸構図は避け、サイズもアップすることで、動きを活かす構図にしましょう。動きを出したい時には、集中線の中心部分をあえてキャラクターから離した場所に持ってきても効果的です。

POINT2 エフェクトの集中線をグニャリと曲げて空間を具現化

動かした集中線を、まっすぐではなく、曲がった状態に。より遠くからきたようなダイナミックな動きや、空間の広がりを表現したい時は、集中線をこんなふうに曲げると効果的。

奥を白、手前をブルー系というふうに色を変えて、手前と奥の差をつければ、より距離感が強調される

POINT3 背景でストーリー性を表現しよう

六花ちゃんは、集中線のほうにある「違う惑星から飛んできたヒロイン」というのが絵のストーリー。しかし、背景の宇宙空間が均一なので、ちょっと説得力が足りない感じになっています。絵の中に、元の世界とこれから向かう世界を示す演出が必要です。奥には遠く輝く明るさの異なる星々や、惑星の影といったものを描き込み、手前にはドーンと地球を追加。こうすると絵の要素とエフェクトが一体になって、遠くの星から地球にやってきたというドラマチックな演出になります。

エフェクトで六花ちゃんがやってきた方向が分かる

行き先はこの手前にある地球なんだなぁ〜
→物語性が伝わる!

POINT4 背景とキャラクターの違和感は影と光で解消

人物と背景がなじんでいない原因は、光と影の使い方です。この場合に作りたい状況は、奥に強い光源があり、途中は暗く、人物には直接照らすライトが当たっている、というもの。一定に光が当たると人物が平面的になってしまうので人物の影を一部強めます。さらに、画面の奥やエフェクトからの光に照らされた部分にリムライトを入れると、輪郭が照らし出され、背景ともなじみます。

背景の色を拾ってリムライトとして入れると、背景と人物のなじみ方がアップ!


以上、『さいとうなおきの超もったいない!イラスト添削講座』(著:さいとうなおき)の抜粋記事でした。 Amazonなどで絶賛発売中です。
さいとうなおきの超もったいない!イラスト添削講座 by さいとうなおき