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物体表面の質感 『光を拡散反射する表面(マット)』
本記事は書籍『色と光マスターガイド イラスト上達のための理論と実践』の抜粋記事です。
Charlie Pickard(チャーリー・ピッカード)先生がマットな質感の表現方法を紹介する章を、ホビージャパン様よりご提供いただきました。今回は物体表面の質感の種類について紹介していきます。
最初にマットな表面に当たる光を詳しく見ていきます。マットとは光沢やツヤのない表面のことで、日常生活のあらゆる場面で見かける、ごく一般的な物体表面です。マットな表面に光が当たるとどうなるのか。その論理や限界、明度への影響、形、色について、しっかりと理解を深めることが、光と色の表現の基礎固めになります。
物体表面の質感
世の中にある数限りない種類の素材でできた物体と、そこに当たる光を作品に描き出そうとするとき、光と素材の相互作用の基本的な性質を理解することが肝心です。どのようなカテゴリーがあるのか確認しておきましょう。
光の性質のカテゴリー
光が素材に作用する性質のカテゴリーは、基本的に4種類しかありません。すべての物体の外見は、その素材と光がどんな相互作用を引き起こしたかによって決まります。「発光」は特殊なケースで、自然界にはほとんどありません。ほかの3種類は、多かれ少なかれ、すべての素材において見られる性質で、時にはいくつかが同時に起こることもあります。
- 発光
- 反射
- 屈折
- 吸収
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物体表面のカテゴリー
すべての物体表面は、5種類のカテゴリーに分けられます。「光」の章では、この5種類の物体表面と光の相互作用について検証し、それぞれのケースに沿った描写方法を考えます。
- 鏡面(スペキュラー)
- ツヤのある表面(シャイニー)
- ツヤのある表面(マット)
- 半透明な表面(トランスルーセント)
- 透明な表面(トランスペアレント)
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ツヤのある表面(シャイニー):完全ではないが、正反射に近い反射を起こす物体表面。
ツヤのない表面(マット):光の拡散反射と透過や吸収を組み合わせて起こす、光沢のない物体表面。ごく一般的に見られるカテゴリーで、モデリング(立体感の描写)やシェイディング(陰影の描写)をするとき、主に描写の対象になるのがこのタイプの表面。この章のテーマでもあります。
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透明な表面(トランスペアレント):透明なガラスなど、光を完全に透過する物体表面。
球体画像 出典(左上から右下へ順に)
© ptasha, missisya, DigitalGenetics, pyty, Pixel-Shot, Igor Kovalchuk, and yaophotograph (via Adobe Stock)