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背景とキャラクターを置く構図を一致させよう!『ベストな構図を知る』
本記事は書籍『さいとうなおきの超もったいない!イラスト添削講座』の抜粋記事です。
イラストレーターのさいとうなおき先生が「キャラクター」の視点で添削し「イラストを上達させるテクニック」を解説したいくつかのページををご提供いただきました。
お悩み相談15:背景からキャラが浮いた感じの違和感がある
相談内容:購入して初めてデジタルに挑戦して、4つめの作品です。景色のある背景に挑戦しているのですが、キャラクターと背景がマッチしなくて、なんだか浮いた感じになってしまいます。(P.N.くづきみなと【みみみなと】さん)
BEFORE
GOOD!
- ハイライトがきれい:髪のハイライトの描き方がすごくきれい。ハイライトが上手く描けると、それだけでかわいさが30〜40%くらいアップするので、いい武器を持っているなと思いました。
- 女の子がかわいい!:パッと見てそう思いました! 顔もすごくかわいく描けています。
NOBISHIRO
- 小人なのに大きく見える?:もみじの葉っぱがこんなに大きいので、この女の子は小人なのかなと思うのですが、イマイチその小ささを表現できていないのがもったいない!
AFTER
- 紅葉の葉っぱは角度や大きさをランダムにして
- 木漏れ日を描くと画面の密度が上がって映える
- 手前に前景を描くと、キャラクターのアウトラインが隠されて背景と自然になじむ
- 背景に埋もれてしまったな……と思ったら、キャラクターの色合いを強くすると強調される
POINT1 構図は見上げに統一
キャラクターが浮いて見える理由のひとつが、この女の子は「見上げ構図」で描かれているのに、背景は「見下ろし構図」で描かれているからだと思います。このように背景とキャラクターの構図がマッチしていないことで、背景は上から見ているのに女の子は下から見ている違和感が生まれてしまいます。あえてそういう構図にすることもありますが、今回は、パースの関係で女の子の大きさを強調した感じが出てしまい、小人なのに大きさを強調するようになっているちぐはぐ感もあるのです。
アイレベルを下げてパースを修正する
三角形のシルエットを強調する
木の幹で見上げ感を強調
POINT2 目線の先と奥に空間を作る
今は地面と木を描いて後ろに続いている空間を表現しようとしていますが、幹の色が一定なため、窮屈な印象に。また、せっかく手と目を上に向けているので、その先に空間があったほうが見るほうも想像力が掻き立てられます。そこで、見上げ構図に合わせて、地面の面積は減らして。木は垂直ではなく、POINT 1で言ったように斜めに入れた上で、近くを濃く、遠くを薄くしましょう。色の差によって遠近感が生まれ、空間が感じられます。
POINT3 明暗差でキャラクターに視線誘導
修正前は木の幹が一番色濃いため、どうしてもそこへ目が行ってしまい、キャラクターが目立ちづらくなってしまいます。人は明暗差がついている場所に目が行ってしまうのです(=明暗対比)。そのため、一番見てほしいところ=キャラクターの顔まわりに一番明暗差がつくようにしましょう。