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人物と背景でちぐはぐになっている光に統一感を出そう『光・色彩を使いこなす』
本記事は書籍『さいとうなおきの超もったいない!イラスト添削講座』の抜粋記事です。
イラストレーターのさいとうなおき先生が「キャラクター」の視点で添削し「イラストを上達させるテクニック」を解説したいくつかのページををご提供いただきました。
お悩み相談12:落描きみたいに見えてしまう
相談内容:タイトルは『日の出』です。精一杯がんばって描いても、納得がいきません。自然できれいな背景を描こうとしたのに、落書きのようになってキャラクターともなじまずに困ってしまいました。(P.N.ユズさん)
BEFORE
GOOD!
- 描きたいイメージが伝わってくる:「きれいな印象の絵を描きたい」というユズさんの思いが伝わってくるいい作品です!
- しっかりした目標が設定できる力:ユズさんは18歳とのことですが、その年齢で目標とする明確なイメージを持つ人はまれでしょう。自信を持ってください!
NOBISHIRO
- ちぐはぐな印象:「人物と背景がなじまなくて困る」と感じる理由は、光の色や方向が全体にちぐはぐになってしまっているからです。
- ガラス扉が目立ちすぎ!:大きく扱われているのに、絵の見栄えをダウンさせています。この他、構図を変えていくことで見栄えをアップさせましょう。
AFTER
- 小鳥にも逆光になるように光と影を描き込む
- 髪の毛が風になびいているイメージにすると、絵に空気感が加わる
- 地面のラインが人物の腰のラインと重なり、体を上下で分断する形が悪目立ち。地面の形を変更
- ガラス扉を両側に配置することで、画面が引き締まって人物に視線が集中
- 画面の中に垂直や平行な線が多いので、全体を少し斜めに振り、右の木枠だけに白い光を追加して自然な印象に
POINT1 日の出の光=黄色の影響を背景に追加
画面左の朝日は日の出らしい黄色い光なのに、風景の中の山と地面は青と緑で、全くその影響を受けていません。パッと見た印象で、日中のイメージになってしまっているのです。朝日が昇ってきた光の影響を描き加えることで、不自然さをなくしましょう。
朝日の色合いにしつつ、影を追加します。朝日は画面の奥の左側にあるので、ここが光源になることを意識することが大切。光源に合わせた光と影を作れば、ちぐはぐ感が解消できます。
手前と奥で色を変えると遠近感を表現できる
POINT2 逆光=濃い影をライティングで人物に追加
背景と同じように、人物にも日の出の光による影を追加。全体に影を落として後ろからの光を描き入れれば、逆光だと伝わります。キャラクターのライティングを調整すれば、画面に統一感が一層出せます。
髪のハイライト
肌の影とリムライト
顔の影
服のライティング
カーテンで視線誘導