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キャラクターの内面をポージングで表現しよう 『キャラクターを深掘りする』
本記事は書籍『さいとうなおきの超もったいない!イラスト添削講座』の抜粋記事です。
イラストレーターのさいとうなおき先生が「キャラクター」の視点で添削し「イラストを上達させるテクニック」を解説したいくつかのページををご提供いただきました。
お悩み相談2: 見栄えがせず、見た人の心を動かせない!
相談内容: この少女は、中3の「梓」というオリジナルキャラクターで、「世間的に許されない恋を成就させようとしているけれど、たまに切なくなる」という心情を描きました。かけた時間の割に見栄えがしなくて、どうしたらもっと心地よいと思ってもらえる絵になるでしょうか?(P.N.あまねさん)
BEFORE
GOOD!
- バツグンに色がきれい!: ピンクと青って、ぼくもすごく好きな組み合わせで、まずそこに目を奪われました。
- 水面に映る桜の表現が上手い: 水面部分にちょっとピンクを混ぜることで、水に桜が映っている様子が分かります。画面に深みを与えて、とてもいいですね!
- キャラクターの気持ちを背景でイメージできる: 心象風景を描こうとしているところが意欲的! 表情も切なげで訴えかけてくるような目にグッときます。
NOBISHIRO
- パッと見た印象は「はかない」:「許されない恋なのに、成就させようとする」タイプの女の子ということですが、それにしては、はかなすぎる印象を受けました。
- 桜の存在感が大きすぎる:キャラクターと桜が同列で描かれているように見えるので、主張が激しすぎるかも。
キャラクターの内面をポージングで表現しよう
AFTER
- 後ろにも波紋を描いて進行方向を示す
- 水面に映る桜の枝を控えめに描き添えて、画面を締める
- 画面の賑やかしに、水面に花びらと影を描き入れる
- 波紋をリアルに描くことでキャラクターの存在感が増す
POINT1 表現はポーズに表れる
あまねさんのコメントからは、「許されない恋を成就させようとする女の強さ」のようなものを表現したいのかなと思いました。しかし、ふわりとした立ち方で上半身も画面左に移ろうようなポーズが、その表現したいことと上手く噛み合っていません。梓さんの強さを表現するために、しっかりと地に足をつけて、己の意志で進み、その手で未来をつかみ取る!というポーズにすれば、表現したいこととキャラクターのポーズ・内面がリンクして、見た人にとって共感できる=心が動く絵になるはずです。
POINT2 桜(=脇役)の優先順位を下げる
桜の花びらが丁寧に描かれていますが、この絵で一番表現したいのは桜ではなく、女の子の内面。桜はあくまで彼女が求めるもの(=恋の成就)の象徴なので、もっと存在感を減らして脇役に徹してもらいましょう。
POINT3 背景はランダム感を大切に
一定の細さで規則的に描かれている水面の波紋は、少し不自然。進んできた方向を表して構図にも影響する部分なので、ランダムに粗密を作って自然な形に仕上げましょう。水面の写真などを検索して参考にしてみてください。上部は思いきって光の反射で白く飛ばすことで、頭と背景にコントラストがつき、顔を強調できて効果的です。