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メインを引き立てる盛り付け(=演出)を考えて! 『演出の意図を考える』
本記事は書籍『さいとうなおきの超もったいない!イラスト添削講座』の抜粋記事です。
イラストレーターのさいとうなおき先生が「キャラクター」の視点で添削し「イラストを上達させるテクニック」を解説したいくつかのページををご提供いただきました。
お悩み相談7:素人くささが否めない!
相談内容: 絵のタイトルは『迷い道』。近未来的な世界観で、空飛ぶホウキを持った女の子が道に迷って、ルートを探しがてら休憩中というシチュエーションです。どうにか完成させましたが、素人くささが抜けない点が気になっています……。(P.N.セフィさん)
BEFORE
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GOOD!
- 帽子のデザインが秀逸!: 和傘っぽさを取り入れつつ、近未来のSFチックな魔女の帽子になっていますね。
- 和風SFテイストでかっこいい!: 帽子だけでなく、全体的にキャラデザインがすごくイケてる! 素晴らしいです!
NOBISHIRO
- 地図への描き込みが不十分: 地図の中身を充実させることで、テーマが伝わりやすくなり、クオリティーもアップします!
- デザインのよさが活かしきれていない: 構成や構図、色によって、かっこいいキャラデザインが邪魔されている感じ。特に座っている地面の色が原因で、重たい雰囲気になっています。
メインを引き立てる盛りつけ(=演出)を考えて!
AFTER
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- 高所にいるので、髪の毛が風で乱れている雰囲気があると自然
- キャラクター性に合わせ、あえて片方の目を隠す
- ひもが舞っている描写で、見ている人に風を感じさせる
- 足の色が暗すぎたので、反射光によって明るく
POINT1【盛りつけ1】座っている場所とコンセプトをリンク
メインディッシュの料理がおいしくても、お皿や盛りつけがイマイチだったら、プロの店で出される料理には見えないですよね。絵でも同様に「素人くささ」を感じてしまう理由は、メインディッシュ(=キャラクター)を引き立てる盛りつけ(=演出)になっていないことなのです。この絵は、空飛ぶホウキで飛んできたキャラクターがひと休みして、地図を広げているというシチュエーション。ということは、高い建物の縁に座っているところだと想像できます。でも、現状では座っている場所が重たいイメージの色で幅もある上、人物の配置も下なので、重心もズーンと下。これでは、見ている人は低い場所だと想像してしまいます。黒から白に色の変更と、面積を小さくして軽いイメージにしたら、人物ごと上へ移動。構図を上げれば、高いところだと伝えることができます。
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POINT2【盛りつけ2】背景とアイテムをリンク
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雲は手前を大きく、奥へ行くにしたがって細く薄い状態に。遠近感で、よりダイナミックに空間の広さを演出できる
奥に建物を描き入れて、さらに高い場所だという表現を補強。色の濃淡を調整することで、ビル自体の遠さや、ビル同士の遠近感も表現できる
POINT3【盛りつけ3】テーマとアイテムをリンク
キャラクターが見ている地図は、タイトルの『迷い道』に直結した大切な部分。あまり描き込めていないのがすごくもったいないです。地図をかっこよくすることで、テーマが伝わりやすくなり、絵がグーンとよくなりますよ。
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地図以外の周辺の情報も表示している画面にし、見た目を賑やかにすることで絵の完成度をアップ